第一回International Auto Film Festaにてノミネートされた作品を応募順に紹介しています。今回は「2022 Toyota Tundra Truck Bed Durability Test」アメリカからの応募作品。制作はStage3 Agency。
トヨタ車ながら日本国内では導入されず、北米で販売されているタンドラ。このマッチョなスタイルに日本国内のファンも多い。このトラックの荷台の逞しさを数々の実験で証明してくれるのがこの動画。そういう意味では”YouTubeらしい動画”とも言えるエンターテイメント性のあるコマーシャルフィルムになっている。
“過酷な実証実験”はYouTubeと相性が良い。映像を流すプラットフォームがYouTubeであることを正しく認識している企画内容だと思う。とはいえ、これは自動車メーカー作成の動画である。他のチャンネルと比べ、見せ方も、編集も、すべての要素において格段にクオリティが高い。そこがコマーシャルっぽさを印象づけている部分であるのだけれど、それがかえって内容への信頼性を高めている。自動車メーカーが真面目に作り上げた贅沢な実験映像だ。
傷の付きにくいトラックベット(荷台)を伝えるのであれば、素材や表面処理、その硬度を示す数値で説明することも出来る。でも「百聞は一見にしかず」と日本のことわざにもある様に、御託を並べるよりも見てくれと言わんばかり。ボートの錨や金属製のツールボックスを直接投げ込む、それは徐々にエスカレートし…。この展開は映像で楽しんで頂きたい。日本語字幕も入っているので、是非字幕をONで。
最後の清掃シーンも個人的に好感が持てる。ホースから直接水をかけて、汚れをデッキブラシで擦り落とす。「これはタンドラにとっての日常」というセリフが入る様に、過激なYouTube企画ではなく、タンドラにとっては普通のことだと言ってしまうのがカッコいい。荷台をピカピカに磨き上げたり、新車状態にしないのもポイント。だってこれがタンドラの日常なのだから。
企業のコマーシャルフィルムでは最新の機能や設備、危険を自ら回避する安全装備を押し出す映像だけ用意すれば事足りる時代かもしれない。しかし、タンドラのアイデンティティは時代に合わせて進化した上でも変わらない逞しさであり、それがタンドラたらしめる証なのだと。そのブランドイメージを大切に正しく伝える映像が、こうして作られていることがとても素敵なことだと思う。
過去にはスペースシャトルさえ牽引したタンドラ。新たなジェネレーションに生まれ変わった今も、タンドラとしての実力は健在だ。
映像は多くの情報を伝えてくれるけれども、クルマのイメージをストレートに伝えてくれるコマーシャルはとても重要だと思う。
そして、こうした映画祭へ参加してくれたことで、自動車メーカー作成のコマーシャルも様々な動画と同時に舞台に並べて見れることがなによりも嬉しい。(清水)
この作品はInternational Auto Film Festaオフィシャルサイト経由で応募されました。
第二回の募集は2024年1月1日から開始。オフィシャルサイト、FilmFreeway、festhome経由での応募が可能となります。