News

Porsche Animation | Full CG | 巧みなカメラワーク | 1st ノミネート作品紹介

第一回International Auto Film Festaにてノミネートされた作品を応募順に紹介しています。今回は「Porsche Animation」ドイツからの応募作品。制作はMondlicht Studios。

 

 

撮影スタジオに納まる、美しいポルシェ911(992型)のPV。映像を見ていると、あまりにも完璧すぎるライティングやボディのツヤに関心する。そう、これは完全なフルCGの動画作品。既にクルマのTVCM、映画などでは積極的にCGが取り入れられているが、この作品は実写と疑わないほどの映像精度がある。

 

この映像の美しさはCGのクオリティの高さだけでは説明が足りないと思っている。そもそもCGの精度を上げていっても、ある程度のレベルで限界が出てくる。視聴側の環境も最高で4Kが現実的だろう。しかし、CGの精度を限界まで上げたところで、それが映像の魅力に直結するわけではない。
単純にCGの解像度が高いだけでは成立しない時代になっている。つまり視聴者側の目が肥えてしまっているのだ。

 

 

では、この作品の魅力はどこにあるのか?それはカメラワークにあると考える。
クルマを美しく見せるショット、そして見ていて飽きないショットが続く。CG作品の要はカメラワークにあると、この作品を見て気付かされた。

 

これまで実写でクルマの映像を撮ってきた人がチームに入っているか、もしくは数々のクルマの映像を研究してきた人がチームに加わっているか。いずれにしてもカメラマン視点でこの映像を見ると、カメラワークのセンスの良さに嫉妬した。

 

 

CG作品で忘れがちなのは、対象となるクルマだけではなく、そのクルマが置かれる環境も自由な状態から考えられて作られていること。今回の”撮影スタジオ”の空間デザインも興味深い。倉庫の様な無骨な撮影スタジオと、演出としてのライン型の照明。すべてがポルシェの美しいボディを魅力的にしている。周りの映り込みも、やりすぎないのが良い。

 

 

この映像作品の評価は、CGの技術力を押し付けるのではなく、映像としての美しさで作品性を高めた点だろう。「ここまで出来るぞ」という押し付けの華美な世界ではなく、床の間の花を引き立てるために庭の花を摘むような侘びの世界観。
“ただ純粋に、このポルシェを美しく見せたい”。その意識が映像作品としてのクオリティを上げている。(清水)

 


この作品はInternational Auto Film Festaオフィシャルサイト経由で応募されました。
第二回の募集は2024年1月1日から開始。オフィシャルサイト、FilmFreeway、festhome経由での応募が可能となります。