レーシングゲームのオープニングかと思うほどの完璧な実写映像。
第一回International Auto Film Festaにてノミネートされた作品を応募順に紹介しています。今回は「Team G/MOTION’ TCR-JAPAN honda civic TCR」日本からの応募作品。制作は有限会社ジーモーション TEAM G/MOTION’。
筑波サーキットを駆け回るHONDA CIVIC TCR。実際にTCR-JAPANに出場しているマシンそのもの。走行シーンをトラックでの並走、車内、観客席からと複数の目線で追い回す。レースシーンを思い返すかのように、見ている側はサーキットを疑似体験する。その目線はドライバーなのか、観客なのか。どちらにもなれる。
このクルマの魅力を存分に味わえる映像作品になっている。
戦うクルマは美しい。サーキットを駆けるレーシングカーの魅力はそこにある。ボディの膨らみ、車高のセッティング、車体全体に纏う本物のエアロ。全てに理由があり、無駄のない美しさそのもの。映像の中でマシンのスケール感がしっかりと表現されていることで、ダイナミックな走りが迫力を増している。
そもそもマシンに乗るドライバー以外、サーキットを走るレーシングカーをこの距離で見る事は出来ない。多くの人にとって完全なる非日常の世界。
技術面で言えば、カメラと撮影技術に加えて、レーシングカーとカメラカーとの息の合う連携。それらが高い次元でリンクして初めて実現できるのがこの映像と言えるのかもしれない。
レーシングカーはそもそもゆっくりと走ることが苦手なマシン。トラックを駆ける速さを目的に作られたマシンは、レーシングスピードを維持することでコンディションを安定させることが出来る。つまり、攻めた走りではないとしても、それなりの速度で走っているということ。
ということは、マシンと並走するカメラカーも同じ速度。僅かなミスも大きなトラブルの引き金になる。この映像からはそれぞれのドライバーの阿吽の呼吸がうかがえる。
この映像の面白さは、撮影技術やスタッフの高度なテクニックを匂わせずに、整えていること。マシンの美しさ、強さ、逞しさがストレートに表現されている。
見ている側が素直に集中できるのは安定した映像があるからこそ。
ところで、この映像に他のマシンが一切出てこないことに気づく。完全なるサーキットの貸し切りで撮影されている。カメラカーが入るのだから当たり前と言えば当たり前なのだが…。しかし、なんと贅沢なプロモーションビデオなのだろうか。
ただ、言い換えると撮影できる時間が限られているとも言える。
様々な条件の中でこれだけのパフォーマンスを生み出すドライバーとカメラクルー。チームワークのレベルの高さを素直に尊敬したい。(清水)
この作品はオフィシャルサイト経由で応募されました。
第二回の募集は2024年1月1日から開始。オフィシャルサイト、FilmFreeway、festhome経由での応募が可能となります。