今回ご紹介するのは第一回「International Auto Film Festa賞」受賞作品です。
第一回International Auto Film Festaにてノミネートされた作品を応募順に紹介しています。今回は「”LOVE_4_RAV” [28-year one-owner car, the story of Toyota RAV4 L]」日本からの応募作品。監督はTUNA。
応募時に添えられた監督のメッセージがこちらでした。
「日本,北関東の街。28年ワンオーナーでトヨタ自動車が製造したSUV、トヨタ・RAV4を所有する家族のショートムービー。映像は1分と数十秒。ドキュメンタリー・タッチで描かれた映像には長男がインタビューに答える。何気ない幹線道路を走る映像は、このRAV4が28年もの間走り続けてきた道だ。」
「車内には日本の神社のお守り、携帯電話の充電器が雑然と置かれる。車体の外観もコンクールデレガンスとは言い難い。だが、このクルマには家族が紡いできた思い出がそこかしこに息づく。どんなクラシックカーとでも肩を並べられるエピソードを、まちかどの自動車は持っている。」
そんな監督からのメッセージを受け取った上で作品をご覧頂くと、また新しい感想が湧き上がってくるかもしれません。
先にお伝えすると、別の記事となりますが監督のTUNAさんへ特別インタビューをさせて頂いています。映画祭へのエントリーを決意されてから撮影に入られたことや、実際に撮影に用いられた機材などの逸話は驚きの連続でした。こちらは後日あらためてアップさせて頂きますので、楽しみにお待ち頂きたいと思います。
こちらの作品は唯一、審査員全員が得点を入れた作品でした。とても自然な日常のドキュメンタリー。気を抜くとスッと通り過ぎてしまう様な当たり前の生活感がこの映像にありました。
クルマを所有している家庭で育った人であれば、誰もが見ていた景色なのかもしれない。そんな車内の空気とウインドウの外に流れていく街並み。自分の家族だけが共有する車内でのエピソードが不思議と重なって思い出されてくる、そんなドキュメンタリーフィルム。
家族で行った夏の旅行。正月になると祖父母の家へと向かう道のり。世代を超えて長く乗り続けてもらえるクルマは数少ないかもしれないけれど、思い出の中にその時々の家のクルマがしっかりと残っている。我が家で言えば国民的大衆車だったコロナやカローラ。ボディカラーや内装のファブリックの色もなんとなく覚えている。
なぜこのクルマの映像を見ていて、全く異なる我が家の愛車とのストーリーを思い出すのか。それは監督が添えた「どんなクラシックカーとでも肩を並べられるエピソードを、まちかどの自動車は持っている」という言葉に答えが見つかるかもしれない。
ここで言うクラシックカーは名車と言われるクルマを指していると思う。今回の主役であるRAV4は大量生産された大衆車。当時はどこでも走り回っていたクルマ。一般的には特別なクルマではないかもしれないけれど、家族にとってみれば唯一無二の特別なクルマ。
その気持がわかるのは、この映像を見て家族とクルマとのエピソードを何か一つでも思い出せたから…なのかもしれない。でも言い換えれば、家族との全てのエピソードに触れられるこのオーナーが羨ましい。「自分にだってこんなエピソードがある。」そう思いながら、過去の我が家の愛車を振り返ってしまうのだろう。(清水)
この作品はオフィシャルサイト経由で応募されました。
第二回の募集は2024年1月1日から開始。オフィシャルサイト、FilmFreeway、festhome経由での応募が可能となります。