コロナ禍に撮影された作品、という背景にも注目したい作品です。
第一回International Auto Film Festaにてノミネートされた作品を応募順に紹介しています。今回は「Roman Holiday _ VWacanze Romane」イタリアからの応募作品。監督はWerther Germondari。
VWバスのミニカーがイタリア・ローマの名所を巡るツアームービー。作品には「近日非公開シリーズ」の「存在しない映画の予告編」と説明が添えられています。そこからも察せられる様に、この映像はアート的な切り口があります。ビジュアルやテクニックというよりも、コンセプチャルな要素が強く、美術館やホワイトキューブでの展示が似合う作品。
コロナ禍で人が居なくなったローマでツアーをする。それは世界各国で街から人の姿が消えたタイミング。直接的に「コロナ禍」という表現は一切ないけれども、「今のタイミングで起きている」という視点で映像を見ると、見えていなかったモノが見えてくる気がしています。
アートピースとしての映像。今回映画祭を開催するにあたって、こうしたジャンルの作品は想定していませんでした。
正直に表現するならば「難解」であり、他の作品と並べた際に意図しない異なった印象を受けてしまうことがある。そこに主催サイドとしての葛藤も抱えました。いわゆる美術館の作品に添えられる「キャプション」が必要なのかもしれないし、美術館の様な視聴のための「環境」が必要なのかもしれない。
どちらにしろ、雑に扱ってしまうと本当に大切な部分を見逃すかもしれないという、とてもデリケートなジャンルだと思います。
ローマの休日。オードリー・ヘップバーン主演の名作ですが、タイトルからそこを連想するのは自然なことかもしれません。
私はイタリアには行ったことがないのですが、様々な旅行vlogなどを覗くと、各名所には人が溢れています。ですが、この映像にはほとんど人が映り込んでいません。もちろん意図してフレームアウトさせているロケーションもあると思いますが、引きで撮られた広場でも、そこに歩く人はまばらです。こうした異質な記録としても、未来に視聴することで、今とは異なった印象を得られるのかもしれません。
映画の予告。このジャンルだけでも映画本編とは異なる面白さや魅力があります。予告編の方が好きという作品も心当たりがあるのではないでしょうか?
そうした『「実際には存在しない映画」の予告』という存在感。この映画はフィクションなのか、ノンフィクションなのか。1〜2年前の「当たり前」が、既にフィクションの設定みたいに感じているのがリアルな今です。これこそ壮大な大作映画の設定みたい。
こうしたアート性の高い作品が混ざることで、より多くの可能性を持つことが出来たのかもしれないと思いました。アートとクルマ。取り扱う難しさもあるけれども、個人的には正直なところ興味も湧いています。(清水)
この作品はFilmFreeway経由で応募されました。
第二回の募集は2024年1月1日から開始。オフィシャルサイト、FilmFreeway、festhome経由での応募が可能となります。