News

L’auto del sognatore | 王道の素晴らしさ | 1st ノミネート作品紹介

今回はクルマPV映像の王道とも言えるスタイルの作品をご紹介です。

 

第一回International Auto Film Festaにてノミネートされた作品を応募順に紹介しています。今回は「L’auto del sognatore」日本からの応募作品。監督は株式会社Carkichi。

画面にマセラティのエンブレムが映るところから作品は始まる。それは限られたオーナーだけが手にすることが出来るクルマMC20。
郊外に建つガレージから出ると、海岸沿いのワインディングロードをリズミカルに蹴り、クルマは高速道路へ。そして周りの景色は都会へと移り変わっていく。マンションに辿り着くとドライバーはクルマを降りる。誰に会いに来たのだろうか。

 

 

誰もが憧れるカーライフを体感させてくれる作品。週末を過ごす郊外と都心の住まいをスーパーカーで行き来する生活は、多くの人たちが自分の理想と重ね合わせながら見入るだろう。

 

劇中のマセラッティも、個性の強いマシンながらアクが強くなりすぎず嫌味な雰囲気が全くない。ドライバーは実際のオーナーさんだろうか?演技にやや緊張したたどたどしさもあるが、クルマに乗ってしまえば完璧に乗りこなし、MC20が手足に馴染んで見える。ドライビング中のドライバー本人が纏う空気もやわらかい。

クルマ好きなら一度は見たであろう、パリでフェラーリが爆走する作品「C’était un rendez-vous」が、個人的に気持ちの中で重なり興奮が高まっていく。そんな作品だ。

 

 

シンプルにカッコいい。クルマの美しく見えるポイントを熟知している方が撮っている作品だ。クルマは見る角度によって、全く異なる顔を見せる。

 

海外のカーデザイナーから言われたことがある。「クルマが一番美しく見える角度はどこか分かるか?デザイナーが描く画と同じ目線で見る視点だよ」と。

カーデザイナーが描くレンダリング。そのイラストは、クルマとほぼ同じ高さの視点から見た角度で描かれることが多い。普通に立って見るよりも、やや低めの位置から撮るとカッコいいという理屈になる。

 

 

この作者が直感的にクルマが美しく見える視点を心得ているのか、独自の哲学を持っているのかも色々と話しを伺ってみたいけれども、この映像においては走行シーンも車内のシーンも素晴らしい。気づけば集中して見入ってしまった。

 

 

また、この作品であげるべきは「音」、サウンドの心地よさだ。マセラッティの乾いた甲高いサウンドが自分が操っているかの様に響いてくる。

 

映像的にはもう少しだけ監督の持つ世界観を、色味や空気感として纏ったら更に高まるだろう。その世界を私は見たい。

クルマ好きが撮る王道の作品。そう言い切って誰も異論はないだろう。クルマ好きが撮るということは「わたしはここで見るこのマシンが好きなんだ」という映像になる。そこに共感を呼ぶからこそ、強い印象を見た人の心に残すのだろう。(清水)

 


この作品はオフィシャルサイト経由で応募されました。
第二回の募集は2024年1月1日から開始。オフィシャルサイト、FilmFreeway、festhome経由での応募が可能となります。